メキシコ映画「La misma luna(Under the same moon)」、(2007)
・「La misma luna(Under the same moon)」、Patricia Riggen
、2007、メキシコ
若い母親は米国で家政婦として働きながら、メキシコの子どもとその祖母に送金する。もう五年ぐらい別れて暮らしている。
メキシコでは祖母とつつましく暮らしているが、叔父夫婦が養子にとろうとあの手この手で、少年(9歳ぐらいだったか)は嫌気がさす。
そんなところで祖母が急死、こっそりためておいたお金で単身、ロスアンジェルスの母の元に旅立つ。
いちおう、知り合いの密出国エージェントの仲介をたのんでおいた。しかし、国境ゲートでトラブルにおちいり、少年はひとり、米国の地に放たれる。
しかしメキシコ人の多い土地柄、なにかと手を差し伸べてくれるひとたちはいる。少年は農作業にまで加わる。しかし、ミグラの手入れがあり、四散する。たまたまいっしょになった男は、はじめから少年を厄介者扱いするが旅の道中をともにする。
そのロードムービー的パートで、この男と少年はどう近づいていくかも見せ場。
少年がもっていた母親の住所は、私書箱であり、けっきょく、みつからない。
しかし、ロス中をさまよっているあいだ、ついに母子は邂逅して、ハッピーエンド。
母親役の女優は、猫目風の美女。
少年は、気丈そのもので、前へ前へと向かっていくが、ときには挫折し、しかし、助けがおとずれる。見るものはどうしてもこの少年に感情移入しないわけにはいかない。
米国西南部での、メキシコ人の実情に触れている。
しかし、このお涙チョウダイのトーンには、わたしは生理的反撥をおぼえる。
映画自体はよく仕込まれ、一般のひとに訴えるように計算されている。いい映画だ。
でも、わたしはアマノジャクだから、ひっかかりを感じてしまう。
(2008/03/28)