レバノン・仏映画『Le Cerf-volant(The Kite)』(2003)


・『Le Cerf-volant(The Kite)』、Randa Chahal Sabbag、レバノン・仏(2003)

 レバノンイスラエルによって分断されている。
 国境には監視塔が構え、地雷原がひろがる。
 そんな中で、子どもたちはたこ揚げが楽しみ。

 やっと思春期をすぎたおんなの子は、一族の思惑でイスラエルに併合されている土地の、親戚の青年との結婚をあつらえられる。
 レバノン人としては、イスラエルに併合された土地のほうが生活水準がよかったり、利点があり、じつはおなじレバノン人のあいだにも、心理的反目が存在する。

 このおんなの子は、意志がつよく、めそめそすることなく、拒否の意志をあらわす。
 結婚の相手にたいしてだけでなく、みんなが抱えもっている(伝統的)価値観そのものにたいして。

 けっきょく、数日にしておんなの子は生まれた町にもどる。
 しかし、監視塔の若いイスラエル人とのあいだにほのかな、愛もめばえていた。
 あるいは、その若い兵士だけの幻想であったかもしれないが。

 2003年のヴェネチア映画祭では、銀獅子賞を獲得。
 米国アカデミー賞の外国映画部門でもノミネートされ、米国でもっとも観られたレバノン映画ということになった(といっても、じっさいの入場者数なんてたかがしれてると思うけど)。

 ニホンでは未公開だと思った。
 すると、2004年の「あいち国際女性映画祭2004」なるところで上映されていることを知る。
 なんと監督まで呼んでのトークまであったのだそうな。
 ニホンでも眼のこえているひとが、地方にもいらっしゃるんですね。

http://www.will.pref.aichi.jp/main03/eiga2004/english.html

          (2008/02/27, 11チャンネル)


(2008/02/29)