米国映画「No country for old man(「ノーカントリー」)」(2007)

・”No Country for Old Man(「ノーカントリー」)", Cohen brothers, 2007, 米国

 コーエン兄弟の映画なのか、それともハビエル・バルデムの映画なのか、もちろんコーエン兄弟の映画である。
 バルデムの存在感は大きすぎるほど。
 もう何本もバルデムの出演作を観てきたけど、これほど凄まじいものも少ないのではないか。

 Cape Fear(「ケープ・フィアー」)にておなじく怪演したロバート・デニーロを思い出せた。

 ストーリーはドラッグがらみで、米国とメキシコの国境地帯、さもあらん、といった展開ではある。
 例によって事前にストーリーに無知でいようとこころがけていたために、メキシコ人の米国不法入国者の話かと思っていたら、おおちがい!!
 Pura Violencia!


 巨額の紙幣とドラッグが動き、陰謀やら処刑があふれかえる。
 それ自体のおぞましさにくわえ、バルデムの非道さに血が凍るほど。
 まあ、とはいいながらも、その非道さも度をこすとコミカルさに似通ってくるという話もあるが。
 しかも、いま、を扱ったのではなく、原作の時代設定にのっとったこの作品は、もう三十年ほどまえのことらしい。
 いまなら、よりむごたらしい話でみちているはず。

 ということで、ドラッグ・ビジネス関係にまつわり、逃げる者と追う者、それにマイペースの保安官組、というみつどもえが織り成される。

 とくに前半に、ヴァイオレンスがみちている。
 後半になると、ストーリの展開の巧みさやら、人間らしさを描いたものが交わってきて、より味がふかまってきたという印象。

 まっ、そんなわけで、わたしは国境方面にはあまり脚をのばしたくないんですよね〜。


(2008/02/24)