邦画「小さき勇者たち 〜ガメラ〜」(2006)

・「小さき勇者たち 〜ガメラ〜」、田崎竜太、日本、2006


いわゆる怪獣映画は、だれのものなのか。
 怪獣からは、どんな伝説がはぐくめるものなのだろうか。

 この映画においては、ガメラは典型的なアイドル化している。
 亀を助ける浦島太郎の物語と、大人の目のあいだを逃げ惑う、ETとこどもたち、という感覚が扱われていて、もしかすると、ひとつの伝説発祥の下地にはなりえるのかもしれない。
 荒唐無稽さばかりにこだわっていられない。

 しかし、この子ガメラ、成長してのガメラの眼はなんだろう。
 怪獣の眼に優しさがこめられてしまっていいのだろうか。

 それは、力というのは悪から生じるという、いわばわたしたちの信仰ゆえだろうか。
 あのゴジラだって他の怪獣に対して地球を守るときにも、凄みのある眼をしていたものだった。

 ゴジラはあくまでも悪そのものであった。
 このお子様向けのガメラを眺めながら、あの伊福部昭の音楽がとても懐かしく思えた。(後日、たまたま秋葉原にてゴジラのDVDを見ていて、その音楽に至福を感じた)

 そんなお子様むけのガメラでも、いちおう、ドラマをこしらえてしまう。
 器用なひとたちがいたものだ。


                  (2008/01/11)