イギリス映画「Notes on a scandale(「あるスキャンダルの覚え書き」)」( 2006)

 ・「Notes on a scandale(「あるスキャンダルの覚え書き」)」Richard Eyre、イギリス(2006)

 アカデミー賞にも上っていた話題作。しかし、いったい何のスキャンダルなのかも知らないまま(意図的に)、観る。
 女教師と生徒との絡み、というのはめずらしいが実際に例がないわけではなく、ときどきは市井の興味をかきたてる。
 そこに女教師の(いわくありげな)家庭、それに保身のみの学校などがもつれ、事実の錯綜が深まる。いわゆるノンフィクション系で突き進むような具合に。
 ところが冒頭から存在感を表している、親身になってもくれる同僚年配女教師がそこに決定的に介入してくることによって、ドラマとしてのこの作品に厚みが深まる。それぞれの人物が他のものといっさいかけ離れた存在としてひとつの流れを、いや、葛藤を築き上げるという点においてドラマである。
 その意味ではきわめてイギリス的な作品といえる。
 ケイト・ブランシェットなど二人の女優が圧倒的な印象を残す。


                   (2007/04/10)