米国映画「An inconvenient truth(「不都合な真実」)」(2006)

「An inconvenient truth(「不都合な真実」)」Davis Guggenheim
Al Gore、米国(2006)

米国の前大統領候補アル・ゴールが、地球温暖化へ警鐘を鳴らす講演会を米国内はもちろん、世界各地で実施している。このドキュメンタリー映画は、その講演会をほぼ再現したような形。

 地球温暖化は、もちろん世界的レベルで考えなくてはならない問題。一般的に地球人が地球の自然やらその未来について深く考えるようになったのは、地球の姿が視覚的に提示され、感覚的に地球全体の運命との一体化が促進されてからのもの。
 しかしより直接的には、世界各国にて地球温暖化について対策ないし意識化がなされているのに対し、米国ひとりはムセキニンを決め込んでおり、米国への働きかけが大きな意味をもっている。
 そしてさらに突っ込むならば、アル・ゴールの対立候補として、きわめて疑問視されるなかで大統領に就任したジョージ・ブッシュへの問いかけが重要。
 なぜ米国のみが温暖化に消極的なのか。そこには産業界からの事情やら国際競争力など、かなり生臭い次元の問題がかかわってくる。もちろん、ネオリベラリズムとの係わり合いもある。その点では根が深い。
 たしかに対策は打たれつつあるが、それでも追いつかないというのが現状らしい。ややペシミストにならざるをえない。

 いまでは地球はあまりにも問題を抱えすぎてしまっている。ひと昔まえは、世界レベルでの核戦争での人類の自滅が喧伝されていた(もちろん、危険は継続中と思ったほうがよい)。さらには、ほかのところでもいつか触れたように、感染症、ミュータント化したビールスによる人類の危機など、将来については暗い材料も山積みだ。だからこそアル・ゴールも使命感に燃えているということもあるのだろうけど。

 選挙戦の「敗北」後の啓蒙運動。メキシコでの「敗北」後のロペス・オブラドルの姿とだぶって見える。米国とメキシコとの選挙不正、その似通った点と相違点。あらためて考えてみるべきテーマだと痛感。


                (2006/12/11)