チリ映画「Mi mejor enemigo」(2005)

「Mi mejor enemigo(「おれたちの最良の敵」)」、Alex Bowen(2005)、チリ


 パンパ、あのパンパ(といっても見たことはないんだけど)を突っ走るのはガウチョではなくて、兵士。
 '70年代のチリ、アルゼンチンの国境紛争。チリの小隊六人が国境を目指して進むが、いったい国境はパンパのどこにあるのか。とりあえず塹壕を掘る。
 途中で犬がついてきて、邪魔にはなるがそのままついてくる。重傷を負うものも出てくる。
 
 すると目前にアルゼンチンの小隊がいるのが発見され、一触即発状態に。お互い十人未満の小隊。こんな役立たずのパンパを争ってなんになるのか。

 犬の仲介、負傷者の介護などで、やがて睨みあっていたこのふたつの小隊は友だち状態になる。
 はては前代未聞、手製のサッカーボールまでこしらえて、チリ・アルゼンチン対抗サッカー試合にまでいたる。ここまでくるとドタバタ不条理コメディっぽくなって、うっ。。。と唸ってしまう。

 しかし本隊との交信関係のもつれで発泡、交戦状態になり、大事にはいたらなかったものの、それでも死者が出る。戦いはやはりほろ苦い。いや、ほろ苦さ以上のもの。

 こんなに愉しませてくれて、ナショナリズムを阿諛し、コミュニケーション論でもあるこの映画、この監督とは何なのか。

 調べてみると、この年のチリでの最高興行成績をあげた、つまり大ヒット作なんだそうな。こんなに安くて、こんなにスゴイ映画が、ニホンの反対側でできちゃうんですねえ。ハリウッドの皆さんは風呂敷に身の回りのものをつつんで、どこかに仕事を捜しにいったほうがいいのとちがうだろうか。
 ところでこういった無益な戦いのほかの例では、マルビナス戦役がありましたね。まあ、無益でない戦いって実はないんだけど。

 見たのは夕べの11チャンネル。参考になるか、またスペイン語ですが、紹介ページ。

http://cine.linkara.com/pelicula/mi-mejor-enemigo-alex-bowen-f68.html


                   (2006/11/13)