メキシコ・スペイン映画「Dios o demonio(I love Miami)」(2007)
「Dios o demonio(I love Miami)」、Alejandro González Padilla 、メキシコ・スペイン(2007)
キューバ近海にて、船上、テロに会い、救命ボートにてマイアミに流れ着いたフィデル・カストロ(!!!)。
さて、いったい、カストロはマイアミで何を見たのか。
火傷をおい、あごひげもなく、なんとなく似てはいるが、はっきりカストロだとは悟られない。
偶然、飲食店に転がり込む。そこは女主人(オフェリア・メディーナ!!)のした、三人の雇い手がすべて亡命キューバ人。
マイアミのキューバ人はやはり屈折している。キューバを見捨てて米国の暮らしに憧れてはいるものの、現実はそんなに生易しいものではない。一方で、つねにカストロ政権を倒そうという亡命キューバ人のテロ活動も画策される。
この映画のメインテーマは、カストロの人間的側面を描き出すことだといわれているようだ。
政治は政治、感情生活は感情生活。
けれども実際、どこまで分け隔てることができるか大いに疑問。どんな政治家でさえ、どこかに人間を伴っている。しかし政治の現実的側面の前では、人間性は二の次になる。ましてやキューバのように常に緊張を強いられているところでは。
ソルジェニーツインでさえ「煉獄のなか」では、スターリンの人間的営みを垣間見せることを試みた。
オフェリア・メディーナがマイアミの亡命キューバ人の役をしてるなんてどこからも情報がなかった。
まったくつんぼ桟敷にされていたとは思えないが、オフェリアとすれば、この映画への出演は心外ではないだろうか。もちろん十分に役割を果たし、存在感で充ちていたが。
オフェリアを観るだけでもこの映画は価値があるんじゃないかな。
肝心なところが言い尽くせていない感じがするけど、ここまで。
ニホンでは公開の予定なしらしい。
(2006/10/16)