アルゼンチン映画「Elsa y Fred 」(2005)

「Elsa y Fred 」Marcos Carnevale、アルゼンチン、スペイン(2005)


 老いらくの恋。そう、人生百年、恋を、ロマンスを愉しまなくては! よっしゃ、おらだって、いつまでもいつまでも恋狂いしてやろうじゃないか!!
 そんな気にさせてくれるのが、この映画なんですね。

 エルサは八十を越し、マンションのお隣にやもめになったばかりの八十近くのおとこのひとフレッド、が移ってくる。エルサがかなり積極的にアタック。このおばあちゃん、ちょっと不良気味(笑)で、しだいにフレッドのこころに入っていく。まさしく老いらくの恋。

 永六輔の「大往生」にて、老人ホームでも、男のかっこい老人には女の老人がときめくという話が出てた。やはり色恋沙汰には歳は関係ないんだな。

 でもただの恋沙汰ではなく、エルサはかぎりなくロマンチスト。「甘い生活」のトレビの噴水のシーンに憧れていて、さいごにはフレッドとともにその自己再現を遂げてしまう。

 細かいこころの動きが巧に描かれ、人生のはかなさと素晴らしさ、夢をもつことの意味が全編にこめられている。

 見るまえは老人映画、どうかな、とか思ってたけど、ニホンでは渋谷でのスペイン・ラテンアメリカ映画祭でやるっていうから、つまらないものではないんだろうな、と思ってみたらこれが当たりだった、ってわけ。

 そう、人生を謳歌しなくちゃ、生きてるかいなんてないヨ!

                (2006/08/20)