米国映画「The Last Days」(1998)

 ・「The Last Days」、James Moll, 米国、(1998)

 今晩、11チャンネルではThe Last daysとかいうドキュメンタルを流すことになっている。監督は、James Mollというひと。ちょっと気になって調べてみると、1999年のアカデミーのドキュメンタル部門を受賞している。ニホンでの上映はないみたい。
 内容はというと、ハンガリーでのナチによるユダヤ人狩り。観ることにする。

 ユダヤ人の受難モノ、ナチの暴虐ぶりを表現したものはあまたある。どこかユニークな語りでもあるのか。
 ポーランドやら各国でナチはユダヤ人狩りを試みた。いうまでもなく、人種の純化というのはナチの精神的基盤だったもの。しかし、ナチはあまりにも偏執的でもあり、敗戦が濃厚となった後にも、ユダヤ狩りに向けている力を戦線のほうに振り分けもしなかった。
 ちょうど、かつてのスペインが、ユダヤ人を追放したことにより、経済的基盤を喪ったということが思い出される。

 数人の生き残り者が、当時を語る。なぜかきわめて雄弁。とつとつと語る、まるで台本で打ち合わせでもしていたかのように。
 これがニホンジンなら、思い出したくないということで口が重くなる。ことばが見つからない、ということになる。だがユダヤ人たちは、記憶の継承にこだわる。
 ちなみに製作にはスピルバーグがかかわっている。
 生き残り者が家族を連れてアウシュビッツダッソーなどを訪れて、歴史の淵に呑みこまれ、涙する。それはたしかに感動的。悔しかったら、あんたも強制収容所に送られてごらん、というところ。

 しかし、というべきなのか、すべては過ぎ去った。記憶、悪夢は残るし、人類の歴史に刻まれた所業である。
 いま、生き残り者、「これら」という句をつけるべきだな、みんながみんな、いま、幸せそうだということではないのだから。
 ということで、これらの生き残り者は、未来を信じている。あるいは信じているフリをしているだけかもしれないが。
 そこで終わる。80分程度か。

 そう、強制収容所。「夜と霧」は持っているんだけど、まだ読んでない、恥ずかしい。
 プリモ・レーヴィについてのドキュメンタリーが印象的、いつかここで取り上げてみたい。

 そう、強制収容所フエンテスの「脱皮」にも意味深い扱いがなされている。

(その後、「夜と霧」は読みました、あしからず)


                    (2006/05/17)