アルゼンチン映画「Un Crisantemo Estalla en Cinco Esquinas」(1988)

 ・「Un Crisantemo Estalla en Cinco Esquinas(「菊は五つの角で爆発する」)」、Daniel Burman,
アルゼンチン、(1988)

 監督は1973年生まれで、ブエノス・アイレスにて出生するが、ポーランドユダヤ人である。

 この映画のタイトル、和訳すると奇妙だけど、原題は「UN CRISANTEMO ESTALLA EN CINCOESQUINAS」というもっともらしいもの。1997年に撮られたこの作品の監督は、Daniel Burmanといい、ユダヤ系だが、撮影当時はまだ二十代の前半。しかし内容はかなり重厚。そのご、この監督は作品を増やし、日本でもその一部が上映されるようになっている。

 母親を盗賊に殺された主人公の青年がいくつかの冒険めいたものを繰り広げ、放浪ユダヤ人の若者を知る。田舎の町も舞台として魅力的で、パンパでも亜熱帯でもない、潅木などが生えるフシギなところ。賭博場やら高級売春宿やら、バルガス=ジョサ的雰囲気も漂っている。映像処理にシュールな手法も用いられ、製作者の個性が光る。

 内戦が終了し、何年もたって後にかつての盗賊のひとりが革命の立役者として町に凱旋してくる。それをしった主人公が復讐を遂げる。


               (2006/05/15)