コロンビア映画「Rosario Tijeras(「ロサリオの鋏」)2005

 「Rosario Tijeras(「ロサリオの鋏」)」、Emilio Maillé、コロンビア、2005

 主人公の女の子、だれかに似てるな、と思ってたら、どうやら(昔の)児島みゆきと大竹しのぶを足して、二で割ったような。
 では俗にいうファム・ファタルかというと、なんともいえない。粋でありそうでいて、もろいというか。

 殺し、オンナ、カトリック、なんていう三題噺風。
 イタリアマフィアにしてもそうなんだけど、殺しとカトリックってかなり似通ってる。
 その美学、赦しの美学、というのか。だいたいが、カトリックって告解ですべて赦されちゃうから、悪人には好都合なんだよね。それにべったり型のニンゲン関係、愛情関係。メキシコよりもずっとバロックやってるなあ、という感じ。

 ドラッグ漬け、あるいはクンビア漬けになってるコロンビアでも、上流ブルジョア社会は存在するし、山肌に張り付くような、何を捨てても惜しくない連中まで雑多。その社会のモザイクを結びつけるものはなにか、と問われたなら、こういう関係のつけ方しかないのかなあ、と思った次第。

 ホルへ・フランコの原作は邦訳あり、フアネスの音楽でもよく知られている。

                (2006/05/10)