メキシコ映画「El Crimen del Padre Amaro(アマロ神父の罪)」(2002)


「El crimen del Padre Amaro(アマロ神父の罪)」、、Carlos Carrera、メキシコ、2002

鳴り物入りの作品である、当地では。
 封切り前にああでもない、こうでもないと論争があり、ようやくのことで封切りとなった、やや奇跡的にも。
 それが宣伝にでもなったのか、蓋を開けると興行的にも成功だったのだそうな。
 封切ってから数週間になるが、時間がやっと取れたので見にいった。
 朝の十時の回ということもあって、お客は三人ぽっきりだったけれど(やっぱ、笑)。

 地方の教会に勤め出した若い有能な神父。
 マスコミでは、主に神父と妙齢の信者との交情とが、論議になっていたような。
 若い信者が神父によって妊娠し、モグリ中絶医者によって、死亡するが、それが女の子の元恋人のせいに帰されるというストーリー。
 それ自体でとてつもないスキャンダルといえる、当地では。

 その上司の司教、じつは地元の麻薬シンジケートとつながりが強い。
 たとえば司教区の山間部では、大麻栽培に従わない農民は消されるとかいう話もある。
 すると山間部の教区の司祭は良心さえあれば、当然、急進化するわけで、ゲリラ勢力にも近づいていくことになる(解放の神学、といって、ずいぶん前からあるわけだけど)。
 そのように政治化する神父たちは、もちろん教会体制からは抹殺されることになる。

 とにかく、この映画、作ったひとはエライな、と脱帽したくなる。
 ハリウッドの皆さん、このひとたちの爪の垢を煎じて呑んでくださいな!

 かくかくしかじかで、都会では都会の問題が山積しているが、地方にいけば、ただの貧困問題では片付かない、これまた複雑な問題が渦巻いているということをあらためて思い知らされた。
 この映画、あっちこっちの映画祭にも出品されるみたい。
 日本でも見られるようになるかなあ?

                  (2002/09/29)