タイ映画「地球で最後のふたり(Last Life in the Universe)」2003年

 ・「地球で最後のふたり(Last Life in the Universe)」、ペンエーグ・ラッタナルアーン 、タイ・日本・オランダ・フランス、2003年

 すこし前に当地でも封切られた。まえもっての何の情報もなく、へえ、タイ映画かと思って好奇心を抱いたが、ニホンジンが出てるらしくて、なんかよくわからなかった。
 そのときはけっきょく、見られなかったが、DVDが回ってきたので見ることができた。

 「地球で最後のふたり」。ストーリーとしては、ごくお手軽なもの。きちょうめんなニホンジン青年が身内の死によって、タイ人の女性、おなじく身内を亡くしたばかりのところに身を寄せ、魂のふれあいを描く、とかいうもの。これがはたしてタイ人の監督の手にかかるとどういう出来になるか。

 タイというのはそれこそニホンとの関係が深い。というか、ニホンジンがよく遊びにいくところ、かつ、大いに満足できるところらしい。数多くの旅行記も出ているし、長逗留してしまうひともかなりいるとかの話。
 外国のことをあまり知らないわたしなんかが口をはさんでも仕方がないが、それはそれで多くの生き方がみられるらしい。これはまたいつか。

 ところでむかし交流基金がアジア映画祭を催したときに二本ほど観ていて、力のこもった作品であった。

 この「地球で」では、男の再生が描かれているわけだから、本来ならどこの国でもよかったといえそう。相手次第では、ニホン国内においても同じ趣旨の作品は描けたはず。
 そこにタイからのニホンへの眼差し、ニホンからタイへの思惑なんてものがからんでくるから、映画としての厚みが出てくるということか。
 あえて恰好をつけてコメントするとすれば、モノローグの時代での他者への幻惑、とでも言えばいいのかな。

               (2006/03/18)