ブラジル映画「CARANDIRU(カランジル)」(2003)

・「CARANDIRU」、Hector Babenco、2003、ブラジル

 「蜘蛛女のキッス」、を撮ったブラジル人エクトル・バベンコの最新作、といっても三年前になるけど。「カランジル」。ラテンアメリカ一の規模を誇る刑務所での騒ぎ、その抹殺的鎮圧を通いの医師から見た作品。

 ラテンアメリカでは、喰えないから盗みをするしかない連中が数多くいる。社会不安の元凶。でも捕まえても捕まえても、いたちごっこの展開。国土全監獄化していくのではないかと思えるほど。
 しかし、だれが監獄に入ってるか。こすい奴らはお金、その他を用いて収監を免れる。要領のわるい奴、お金のない奴が監獄に残ることになる。
 しかも待遇がきわめて劣悪。とくに看守の態度がわるい。 だから常に監獄のニンゲンは文句だらけで、ちょっとしたきっかけで立ち上がる。暴動化する。もちろんケンカも多いし。
 そうすると管理する側はすぐさま武力鎮圧に訴え、実弾が惜しげもなく用いられ、死傷者が出る。それはどこの国でもおなじ。
 それで、最大の監獄でいったんコトあればどういう事態にいたるか。火をみるがごとくあきらかである。その殲滅がラスト辺の盛り上がりになっているけど、これ、映画作品としてみるならばコケオドシっぽい。まあ、その無常さを出したかったのだとか言われれば、はい、そうですか、と言うしかないけどね。

 ちなみにメキシコ映画で監獄がばっちり出てくるものに、アパンドというすごい作品が出てきます。ホセ・レブエルタ原作。

        (2006/03/14)