アルゼンチン映画「Vladimir en Buenos Aires」2002
夕べは11チェンネルにてアルゼンチン映画を観てた。
「ブエノスアイレスのウラジミール」といい、2002年の製作で監督は若手(Diego Gachassin)。
ソ連崩壊後、多くのロシア人が海外に道を求めた。米国に渡ったものも多いし、メキシコに移住した科学者もいる。うちの大学でも理系で際立ち、賞をもらってあっちこっちにポスターを張り出されたロシア人もいる。
しかし、ソ連で得た肩書きが通用するのは限られたケースらしい。この作品でも建築家の主人公、それに医師の仲間も、ブエノスアイレスにて同化できずにいる。同化以前に自分が思うようには評価されていないということで相当のフラストレーションを味合う。
お金は限りがあり、時間が無為に過ぎていく。家族を呼び寄せるなんて到底計画できる段階ではない。
主人公もあせる。自分のプロジェクトもあいまいな扱いを諸官庁で受ける。
アパートでは歌手という若い女と知り合う。心を動かされかけるが、ストリートガールであると知って幻滅。でも助けられもする。挫折感がもとで殺人を犯すにいたる。
全体のトーンとしては本国にいる息子たちへの手紙といった雰囲気。だからやや距離感がナレーションとしてはあるのだけど、追い詰められている状況もよくわかる。
その女とのやりとりもあって、ついには自首にいたる。ややぎこちないが、罪と罰を下書きにしているような形(本編にもロシアからもってきた本として現れる)。
なぜソ連崩壊後のロシア移民は成功しないのか。
それは中国人のケースと対照的だとわたしは思うな。
つまりロシア人にとっては、海外でのネットワークというものが成り立っていないからじゃないかな。ぶっつけ本番ということで。
ニホンの南米移民だって、ナントカ協会だったかの後押しがあったくらいだものね。そこへくると、小金を抱えてくるロシア移民はいいカモにされてるような気がする。
考えてみれば先にあげた(給料の安い)うちの大学にきたロシア人の先生なんてシアワセ者なんだろうな(ちなみにうちのがっこうは、うちのだいがくよりさらに給料が安いんだけど)。
11チャンネルではつづいてペルーでもっとも有名なロンバルディ監督による「同情なし」という映画が続き、たしかこれも罪と罰のペルー版とかになってて、まえに見たことがあるはずだからパス。