米国映画「メルキアデス・エストラダの三つの埋葬」(2006)


 シネテカにて恒例の映画祭が始まってる。

 トミー・リー・ジョーンズ監督、そして脚本家ギジェルモ・アリアガの手になる「メルキアデス・エストラダの三つの埋葬」を観る。

 米国のボーダーパトロールといえば、’82年のトニー・リチャードソン監督、ジャック・ニコルソンの「ボーダー」を思い出してしまう。

 とにかく、米国の移民政策、あるいはより正確に言うならば、米国の労働力供給問題として、メキシコ人「不法」入国というのは、本音と建前がねじれている。
 不法入国を取り締まる現場は、absurdそのもの。とすると、取り締まっている側に何が起きるか、取り締まられる側に何があるのか、というのがこの作品の始まり。

 とにかく、この時点でこのテーマが選ばれたというのは当たり前すぎるが、さらに人間ドラマも加わって、感銘を与えるものとなっている。

 とにかく国境一般が、二つの文化、社会が交わり合うところでストーリーが湧き上がる。
 前評判が盛り上がっていたが、前もってこの作品のことを気にせずに観たので、観ているあいだ、かなり乗せられた。
 アモーレス・ぺロスの脚本家もチョイ役で出てた、かなり達者だった。

             (2005/11/20)