キューバ映画「Habana Blues(ハバナブルース)」(2005)
キューバ人は何を考えているのか。
Habana Bluesというこの映画(Benito Zembrano監督)は、かなり突っ込んだ作品になっている。時代の要請か、それともスペイン、フランスとの合作という意味合いもあってか。
メジャーデビューを目指すキューバのアマチュアロックバンド。それがスペインのプロデューサーの目にとまり、夢がかないかける。
主人公の奥さんはそのおふくろさんが米国に行っていて、キューバの現状を見かねて非合法ボートでフロリダに旅立とうと志す。
主人公たちのバンドは、商業的成功を願ってこれまたキューバを離れようとしている。
ではいったいだれがキューバに残り、だれがキューバを支えるのか?
途中から流れがフッと変わる。離婚寸前だった主人公夫婦が理解しあい、理解しあったうえで奥さんは米国を目指す。一方で商業的成功の見返りとしての束縛を嫌い、自分のバンドを降りて主人公はキューバに残る。そこで「生きるということは選ぶことなのだ」というテーゼが出てくる。観るひとの主義主張でかなり意見が分かれてくるところだろう。
しかしキューバの社会史のなかではキューバ脱出についてニュートラル(のような)見方が出ていて、そこは眼を引く。
この映画で圧巻なのはその音楽、ロックやらラップ、ヒップアップなどすっごく威勢がいいんだな、これサントラで出せば売れるだろうな。
つまりキューバ音楽ってブエナビスタ〜だけじゃないってことだよね。
ということで、かなりインパクトのある作品でした。
(単純に考えてみると、ラップやらヒップアップなんかをやってれば、やっぱ本場に出てって観てみたいとか思うんじゃないかな。
これ、ほかのところで書いたことがあるんだけど、なぜライ・クーダーがブエナビスタとジョイントできたかというと、当時のクリントン大統領からの特別許可があったからなんだってね。ブッシュではライ・クーダーはキューバにいけないみたい。
ついでになるけど、ライ・クーダーといえば、ニコルソンがボーダーパトロール役でライが音楽、監督はトニー・リチャードソンだったかな、’81年の製作、文芸坐で観たんですが、印象的でしたね。)
(なお、後日、知り合いのYさんから、この映画の背景事情になるような、キューバのミュージシャン状況をじかにお聞きし、おおいに参考になりました)
(2005/10/24)