メキシコ映画「Batalla en el cielo」(2005)
Carlos Reygadasというひとの初めの作品は「JAPON」という。タイトルは「ニホン」だけど内容はぜんぜん関係ない。生きることに飽きた中年の男がシティの北隣りのイダルゴ州に死に場所を探しにいく。だが山間部のムラで人とのふれあい(とくに老婆)で気がかわる。
映画史上考えられないことだが、この二人、閨シーンにまで至ってしまう(「愛のコリーダ」でも老嬢とのシーンがあったが)。キャストはほとんど素人だというのに。とにかく、その構成もあいまって観たひとはきつねにつままれたような気になる。
このひとの新作は「BATTALA EN EL CIELO」。「天での戦い」か。両作品ともカンヌに出品されてる。
お金持ちの娘、それに御つきの安っぽい初老の運転手との絡み合いが描かれてるのだけど、社会階級的にタブーっぽい内容。
しかも、この運転手とぶざまなでデブの奥さんとのやりきれないような閨シーンのリアリスティックな描写。
おなじく娘と運転手とのリアリスティック。
こどもの誘拐やら、日常的卑近な街の描写も混じり、なんともいいようのないキミョウな作品。
にもかかわらずカルト的関心を一部で呼び起こしているらしい。
わたし個人的にはこの奇矯さはオモシロいと思うけど。
(2005/10/15)