メキシコ映画「Purgatorio(「煉獄」)」(2009)
「Purgatorio(「煉獄」)」Roberto Rochin、メキシコ(2009)
ファン・ルルフォのみっつの短篇を独立した作品として撮り、ひとつの映画としてまとめたもの。
やはり’50年代あたりが時代的背景。
はじめはPaso del Norte、北への道、であり「El llano en llamas」におさめられている。
いなかにて暮らしにこまり、妻と子どもを父親のところに置き去りにして米国へ働きにいくおとこ。
父親もいまでは一人暮らしであるが、息子とはいろいろ行き違いがあったもよう。
しかしこのおとこも米国行に挫折する。
つぎはUn pedazo de noche、夜の破片、ルルフォの作品としては例外的に街が描かれる。
落ちぶれたプロスティツータの口上をしがないおとこがまといつき、聞きつづける。
さいごにCleotilde、これは老いた荘園主が若い娘に一方的に恋する話で、それこそPedro ParamoとSusana Sanjuanの原型ともいえるようなもの。
この新進の監督、しかしながら映像表現はたくみで、古い写真やらモノクロ撮影、それにメキシコの古い通りをもちいたりで、当時の雰囲気が如実に表現されている。
(2009/05/11)