米国映画「フィデル・カストロXキューバ革命」(2005)

・「フィデル・カストロXキューバ革命」、Adriana Bosch、米国、2005

 アマゾン版では独立したDVDとして出ているらしい。
 しかし、この監督は、The American ExperienceというTVドキュメンタリーのシリーズを制作し、その計六作のひとつが本作品であるようだ。

 当時の映像と関係者の証言をまぜながら、フィデル・カストロの幼少のころからはじまり、その生活と政治とのかかわりあい、キューバの歴史がどう生成されてきたかを丹念に突き詰めていく。
 キューバ革命の功罪がもちろん、主要テーマになるし、とりわけ米国にとってのキューバという視点が重要。

 シエラマドレでのゲリラ闘争から始まって、終始一貫、カストロは独断専行色がつよく、あらゆる機会に反対勢力にであっている。
 それは、反バチスタということでいっしょに戦ってきた同士にたいしても容赦ないものであったということがいえるし、よくいわれているように、人権侵害のような事態は、長く続いていた。

 しかしながら、キューバは、米国の脅威のなか、つねに異常なほどの結束力をもとめられ、米国のみならずソ連によっても翻弄され、危機におちいるようなときもすくなくなかった。
 単にカストロの失政ないし、圧制を批判することはやさしいが、歴史を学ぶものとしては、一方的な判断はつつしまなければならない。

 たとえカストロの時代に収容所で死ぬものがいても、それ以前には路上で殺されていたのだから。

 この教科書的な作品については、語るべきことは尽きそうにない。



(2008/04/30)