邦画『僕が病気になった理由』(1990)
製作は1990年。
順に、鴻上尚史、大森一樹、渡邊孝好というヴェテランの手になるオムニバス映画。
当世、流行の病気モノ。
1.マイ・スウィート・リトル・キャンサー
ガンだと思った若い男が人質をとってたてこもる。
しかし、そのガンの確からしさをめぐって応酬がつづき、はては医師団側内部でももめ、ついにはニホン中が、自分のガンをうたがってほとんどパニック状態におちいる。
リアリティがあるいっぽうで、不条理性も押し出され、まともな日常を生きていることの底にある、もろさといったものを味わえる。
具体的には直腸ガンが焦点で、繊維質をとらずにジャンクフード系になれば、ますます危機感がせまってくるというもの。
その直腸のレントゲンにて影になっているものは、どうやらウンコらしいということになり、機動隊が盛り返すときに、「ウンコラ、ウンコラ。。。」と声をかけていくところが、ソシュール的で興味深かった。
2.ランゲルハンス・コネクション
華やかな女子アナ、キャスターの裏では、健康管理がおろそかにされているという例。
とりわけ、世を風靡するグルメ番組で、レポーターはどうしてもカロリー過多になり、糖尿病をこうむるにいたる。
糖尿病の解説やら管理法など、かなり教育的効果もまじえている。
いかに美食がリスクをふくんでいるのかを教え込まれる。
3.ハイパーテンション・ロード
高血圧の危険性やら対処法、管理法などが盛り込まれている。
ふたりの男と女が、はじめは反発していながら、どのように興味をもち、歩み寄っていくかのドラマとしての面もある。
ということで、三人の監督が器用にテーマをこなしているのは、さすがに職人芸。
そうです、健康はなによりも大切です。
(2008/02/07)