米国映画「LOVE IN THE TIME OF CHOLERA(コレラの時代の愛)」2007

 ・LOVE IN THE TIME OF CHOLERA(「コレラの時代の愛」)、Mike Newell、米国・コロンビア、2007

 どう語りだせばいいのかはっきりいって戸惑う。
 どこをみても不評がならんでいる。
 大作ではあるけれども、原作にある強烈さが欠けている。
 コロンビアのカトリック社会、あるいは猥雑な市井、はては自然も描きこまれている。
 しかしながら人物が凡庸である。
 個々の俳優は、ハビエル・バデムをはじめ、すぐれているにちがいないが、その動かし方に疑義がある。

 主演のバデムを始め、ニホンでは無名のヒロインなど、優美なキャスト。
 たとえば脇役のオリンピアには、「アマロ神父の罪」でヒロインを演じたアナ・クラウディア・タランコンが演じていたりする。
 脇役陣のほうがのびのびしていて、なんだかそっと話がずれて予期せぬところへ流れてしまっていったほうがよかったかもしれない、そんなことを考えた。

 ただし、フェチ性にとんでいるわたしとしては南米の河に巨大蒸気船が航行していくのを眺めるだけで、それなりに雰囲気に呑まれてしまいそうになる。

 思い返せば「大佐に手紙はこない」の映画篇のほうがはるかに縮小されたスケールながら河べりの街やら個々の演技陣が生き生きとしていて、本来のガボの姿がじかに伝わってくるような気がする。

 テーマソングたるシャキーラは、意外にもいい声を出していた。
 口のわるいひとにいわせると、そこだけがよかったんだそうな。



                  (2008/01/20)