米国映画「ミュンヘン」(2005)

 ・「ミュンヘンスティーヴン・スピルバーグ、米国(2005)

 いわずとしれたスピルバーグの問題作。
 この映画についてはいろいろなことがいわれている。
 しかも、一歩突っ込んだ性格をもったためか、この作品はイスラエルパレスチナ双方から批判されるにいたっている。
 しかしながら、すんなり言ってしまえば、政治対立、歴史対立をこえた次元でさえストーリーは語られる。

 主人公はユダヤ人ではあるものの、ブルックリン生まれ。
 ユダヤ人というのは四散していて、イスラエル国家というのは悲願でもあったが、じっさい、すべてのユダヤ人がおなじ想いにとらわれていたかどうか疑問もあり。
 もっとも、なにもしらないこういうわたしのような風来坊の言うことなんてなんにもアテにならないけど。

 でもユダヤ人だって家族があり、性生活があり、あるいは、国民生活さえある。
 このモサド暗殺チームの人間的側面を、さすがスピルバーグは掘り起こしているという感をもつ。
 残虐シーンも多く、それは非難もされるが、とにかく現実はこのようであったということ。

 濃厚な作品。
 とりたてて認識の改革を迫られたわけではないが、それにしてもへヴィーであることはたしか。
 シリアスでありながら、それでもエンターテーナー性をねらっているから、そのドリョクは認めたほうがいいとおもう。



                 (2007/10/04)