オランダ映画「De Poolse Bruid(「ポーランド人の恋人」)」(1998)

 ・”De Poolse Bruid(ポーランド人の恋人)”、Karim Traïdia、 オランダ、1998

町から命からがら女が逃げ去る。郊外のある農夫の家で倒れる。四十に近いようなひとりの農夫が助け起こし、介抱する。そのうち、女は回復し、農夫の仕事を手伝うようになる。
 この女はポーランド人で、オランダまで騙されてたどり着き、けっきょく売春窟のようなところへ売り飛ばされたのだ。
 しばらくして、ふたりの男が現れ、ポーランド女の行方を突き止めたようで、引渡しを要求する。
 農夫とポーランド女はもう何週間もおなじ屋根の下に暮らしながら、交わりは乏しく、昼間の仕事でのやりとりのみ。この寡黙で堪えることだけに富んだ農夫は引っ込み思案なところもあるらしい。
 痛い目にあわされたのち、農夫(そしてポーランド女も)は、けっきょく二人の男に対して殺人を行い、そしてその場においてはじめて性的に結ばれる。ああ、死とエロスじゃないか!
 このポーランド女は故国に幼い娘を残してきたらしい。娘をいとしいがり、ある日、農夫の家を出ていく。ここでも農夫は寡黙だ。なんとも渋いが苦味がありすぎるラストだ。これがオランダの田園のなかで繰り広げられる。まるで東洋的な無常観ではないかとわたしは思った。
 しかし、なのであった。。。。。
 ポーランド女は娘を連れて現れた。こんなシンプルなものがたりなのに、これほど壮大な気持を味わってしまったのはなぜだろうか。

 監督はアルジェリア移民らしいがドイツ語圏で教育を受けたらしい。
 この作品および監督についてのニホン語の記述はいっさい見当たらない。
 と思っていたら、オオサカ・ヨーロッパ映画フェアにて上映されたことがあるらしい。


                   (2007/01/22)