スペイン映画「El lobo」(2004)

 映画名「El lobo」(狼)、監督ミゲル・クルトワ(Courtois)苗字はフランス語だな。2004年製作。

 バスコ独立運動組織エタとスペイン国家警察の戦い。
 この運動、最近どうだったかな。和平がしばらくまえに成立したのはIRAでバスコはまだ続いてるんだっけかな。

 とにかく現在の時点では生々しいということもあってか、フランコ時代末期が舞台。
 バスコ人運動のなかの男が、血を血で洗うような日々のモンダイを解決すべく、いわゆる二重スパイになる。だが、バスコ側、それにスペイン官憲側でも意志が強固に統一されているわけではない。しかも、いわゆる正義の建前の裏で人間的真実がどう動くか、いな、悶えるか、が描かれていて、深い掘り下げになっている。
 このテーマで二時間を越える。世界のどこでもこれでは商業公開はできないだろうな。

 たしかおなじような内容のイタリア映画、赤い旅団がイタリアの首相だったかを誘拐して、その組織の内部をミクロスコープで描いたような作品も二年くらい前に見たはず。

 エタのストーリーは、いちおうフランコの死によってこの作品では幕になるが、もちろんストーリーはまだまだ続くわけ。

 世界のあちこちでトラブルがある。国家権力対被抑圧グループ。フィリピン、インドネシア。ロシアとチチェン。コロンビア。アフリカでもあちこち。してメキシコでもサパティスタ、といった具合に。わたしたち普通のひとはたとえ自分では目覚めているつもりであっても、あっちこっち網羅することは不可能だ。
 ときに無力感に苛まれるだけになる。でもいいさ、今日はこの作品を観たと記しておこう。

(主人公の逃亡シーンに、Deep Purpleのハイウエイ・スターがかぶさっていたので、ビックリ)

                (2005/12/05)