邦画「ゴジラ」(1954)

 ・「ゴジラ本多猪四郎、日本、1954

 ヒコーキの個人用モニターがかなり普及している。しかし要は、アタマがいつか。つまり、いつ本編が始まるか。ちょっと口うるさいひとなら、始まってしまった映画見るなんて邪道だもん。
 それでメキシコに帰ってくる便では、このつぎの始まりまで何分というのが出てなかったので、見る気が消失。

 それでも元祖「ゴジラ」を見る。’54年製作というから、もちろんわたしが生まれるまえのこと(何が言いたい?)。
 でも考えたら、いつかUNAMのフィルムセンターで観たことがあったんだと思う。

 そう、元祖ゴジラである。
 暗くて恐いゴジラ
 これ、川本三郎の「今ひとたびの戦後日本映画」の「ゴジラはなぜ「暗い」か」が優れたテキストだと思う。
 初代ゴジラは怪獣映画ではなく戦災映画だとみなす。のちのゴジラが子ども向きになっていったのに対し、これは大人のための、いわば鎮魂の映画。

 なぜ怪獣はニホンばかりを襲うのか。しかし川本さんは調べて、ほかの国にも似通ったものがあったことを教えてくれる。

 それにしてもゴジラはカリスマティックであり、かつデモーニッシュであったのである。


                  (2006/08/05)

 元祖「ゴジラ」は、いわば政治的、大人向けの作品であった。
 以後、観客対象が子どもに移行していき、作品の精度も落ちていく具合であった。
 そのジレンマを克服するためには、いっそ、大人版「ゴジラ」と子ども版「ゴジラ」の二本立てにすればよかったのかも。