2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧
パチューコということばをはじめて聞いたのはもちろんオクタビオ・パスの著作でのことであった。 北部の奇抜な恰好やら言葉遣いをするひとたちということで、チカノとも似ているが、よりアイデンティティに意識的である。 ようするにメキシコと米国という相…
スペインの富裕な老夫婦のもとで働く、南米からのメイドさんがいる。 おなじく南米からの青年がメイドさんと恋仲になっている。 このホセ・マリアは建築業に勤めるが、上司と衝突し、殺人までおかす。 このホセ・マリアは富裕な老夫婦の屋敷に忍び込み、屋根…
イラク侵略戦争がもたらすものを、戦場ではなく、本国を通じて描く。 戦死通知を犠牲者の家族に知らせにまわるもので、そこでは悲しみのみでは言い切れない、コンフリクトがうまれることになる。 はるかな昔、高校生だったとき、サローヤンの作品にて、第二…
ここでわたしたちの知っているバルセロナとは異なった街が現れる。 不法移民労働者の街である。 アフリカからの黒人移民は、スペイン語圏アフリカにかぎったことではなく、しかも違法露店を営み、官憲とのトラブルがたえない。 中国人移民もいて製造業などに…
容貌も社会階層的にもめぐまれたスペイン人の女のひとが、性の悦びの充実を求め続ける。 しかし現代社会は欲望を刺戟・増長させるものであるが、みだりにそれに身をまかせると破滅をもたらすことが避けられない。 舞台はバルセロナ。 女のひとが男に身をまか…
メキシコ映画のタブーを打ち破ったものとして高く評価されている。 内容が破格なわりに、語りのトーン、シーンの撮り方が冗長で、ひと昔まえの(退屈な)「国内映画」をわたしにはまず思い起こさせた。 地方から出てきたラウラとよばれる田舎の少女、色黒で…
70年代から80年代にかけてのアルゼンチンの軍事独裁政治、およびその犠牲者。 主人公の少年から青年への時期、家族の問題などもかかえつつ、叔母のいるメキシコへと亡命。 兄は行方不明者のリストに加わる。 この主人公は、製作者であるこの監督自身の問…
歴史の暗部を描く。 ヒットラーと比べるとムッソリー二の実像というのはあまり描かれていないと思う。 ムッソリーニの初めの夫人となり息子も持つが、のちにムッソリーニにより否定され、母子ともども精神異常者として隔離・幽閉されてしまった二人について…
世界各地で毎年開催されているフランス映画月間もことしで14回目。 その一本を見ようと思い、シネテカまで足をのばす。 話は、昔こいびとだった男と女が出会い、再燃するというもの、もちろんお互いに相手がいて、いわばフリン物。 男のほうはまっしぐら、…
フランシスコ・トレドはメキシコの現役の画家のうちではもっとも著名であるが、その全体像が巨大であるだけにどう近寄っていけばいいのかわからない。 しかしここにトレドを扱った映画作品が撮りあがった。 カフカのアカデミーへの報告を出発点、つまりトレ…