2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「Rudo y cursi(タフとうぬぼれ屋)」Carlos Cuarón、メキシコ(2008)

メキシコきっての人気俳優ガーエル・ガルシアとディエゴ・ルナの共演ということで、魅力たっぷり。 メキシコのいなかで働く兄弟のひとり(ガーエル)がプロのサッカーにスカウトされ、弟も無理やり首都デビュー。 兄のガーエルは、一躍有力選手になり歌手業…

スペイン映画「Los abrazos rotos」Pedro Almodovar, スペイン(2009)

アルモドバル監督の新作、ペネロペ・クルスの魅力満載。 時間が前後し、プロットは入り組む。 富豪実業家の秘書が、女優業にすすみ、実業家、映画監督のあいだの確執やらその周囲の人物の遣り取りですすむ。 じつにしっとりと、しかしサスペンス調にときが流…

米国映画「(500)Days of Summer」、Marc Webb 、米国、2009

米国映画ではあるが、よくあるハリウッド映画とはひと味、ちがうようだ。 トムという青年とサマーという女の子が仕事先で知り合い、付き合いだす。 しかしトムはあまり美男ではないし、どこかピントがはずれていて、サマーもあまりリアルではない。 その意味…

メキシコ映画「Los que se quedan(「残されたものたち」)」Juan Carlos Rulfo, Carlos Hagerman 、メキシコ(2008)

ひとは仕事をもとめて南から北へと流れる。 現代の世界では労働人口の移動(合法・不法)が問題の焦点のひとつであり、メキシコを例にとれば、メキシコから米国への密入国者たちがテーマになる。 それはいまではずいぶんとその労苦を中心に語られている。 し…

米国映画「Julie & Julia(「ジュリーとジュリア」)」、Nora Ephron、米国、2009

戦後まもなくのフランスにてフランス料理をおさめたジュリア(メリル・ストリープ)と、ニューヨークにて、やや浮いてしまった若い女ジュリーのフランス料理修行が、対位法的に並べてある。 ジュリアのパートは、古き良きパリにて、ことばに苦労しながら学ん…

フランス映画『ココ・アヴァン・シャネル』(Coco avant Chanel)アンヌ・フォンテーヌ、フランス、2009

オドレイ・トトゥがシャネルを演じるというので評判になっている。 ポスターはよく撮れているが、ここでのオドレイ・トトゥは、どちらかというと藤田弓子のように見えてしまう。 ココは唄が好きな、どこにでもいるようなお針子娘、このお針子娘というのは、…

フランス映画「Faubourg 36(「『幸せはシャンソニア劇場から』)Christophe Barratier、2008

戦間期のパリのミュージック・シアターでのひと騒ぎ。 その興亡というと堅苦しく響くかもしれないが、社会情勢やら人間悲喜劇をからめている。 もちろんふんだんにシャンソンが唄われる。 こういったショービジネスがキライではないが、今回は、大筋はつかめ…

米国映画「The Soloist(「路上のソリスト」)」Joe Wright、米国(2009)

精神的に異常をきたしてしまっている黒人チェロ(ヴァイオリン)奏者と、白人ジャーナリストとの絡み合い。 米国のアフリカ系黒人がなぜクラシック音楽を?などと問うてはいけない。「バグダッド・カフェのあの男の子も紙の鍵盤でバッハを弾いていたではない…

メキシコ映画「Los Herederos(「受け継ぐものたち」)」Eugenio Polgovsky、メキシコ(2007)

ニホンにおいても明治新政府になり、学制発布ということで義務教育が開始されると、労働力を奪われるとみなした親たちは反対したのだという。 メキシコにおいては、とりわけ地方においては仕事の現場に投げ出されている子どもがうじゃうじゃいるらしい。 し…

メキシコ映画「Espiral(「螺旋」)」Jorge Pérez Solano、メキシコ(2008)

ニホンでいえば、かつての出稼ぎ社会のなかで三ちゃん農業が営まれていたころ(若い子は三ちゃん農業ってわからないかな)、農村において何が起きていたか、あるいは男が出征してしまった土地にて残った者たち(つまり老人、女、子ども)になにを見聞きした…

フランス映画「Un baiser s'il vous plaît (「キッスをよろしく」)Emmanuel Mouret 、フランス、2007

・「Un baiser s'il vous plaît (「キッスをよろしく」)Emmanuel Mouret 、フランス、2007 フランスの地方都市ナントにて中年のふたりの男女がかかわり、わずかなときをいっしょに過ごしながら、思い出話を語る。 おんなのほうが、ふたつの若いカップ…

アルゼンチン映画「Cordero de dios(「神の羊」)」Lucia Cedron, アルゼンチン・フランス(2008)

アルゼンチンのひとつの家族が、歴史に翻弄されるなかで、いかに生き、浮き上がり、または墜ちていったか。 ひとつの家族のなかでも不一致やら反目がありえて、しかも状況を利用したもの、状況に盾突いたものとさまざま。 21世紀初頭の経済危機のさなか、…