2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧
・「L'Homme de sa vie (人生の男)」、Zabou Breitman、2006.フランス フランスのいなかのヴァカンス。 いかにもゆっくり時が流れ、ひっそりと生が息づく。 なんという心地のよさだろうか。 しかし、全体にややしっくりしない空気があるのにも気がつ…
社会活動家や新聞記者に受難のたえないメキシコである。 たとえばわたしは、殺害された女性弁護士Digna Ochoaというひとのことにかかわっているので、リディァ・カチョのことにはあまり詳しくない。 リディァ・カチョというジャーナリストは、富豪の少年少女…
・「La Zona(ゾーン)」、Rodrigo Pla(ロドリーゴ・プラ)、2007,メキシコ 世界でもっとも貧富の差がいちじるしい国のひとつのメキシコ。 先進国においても階級や民族によって棲み分けが成立していて、都心部には恵まれないひとたち、郊外には富裕階層とき…
・「Eastern promises(イースタン・プロミス)」、David Cronenberg、2007, 米国 渋く、苦くもある映画職人ともいうべきデヴィッド・クローネンバーグが、ロシア・マフィアに挑む。当然、世界的に注目される。 ロンドンもひと皮むくと、ロシア・マフィアの…
・「Promised Land(約束の地)」、Amos Gitai, 2004, イスラエル イスラエルきっての社会派映画作家アモス・ギタイの問題作。 東ヨーロッパから仕事をもとめて、非合法にパレスチナからイスラエルに浸入する若いおんなたち。 国境でのコヨーテ的マフィアの手…
・「HEDWIG AND THE ANGRY INCH」、John Cameron Mitchell、2001、米国 Cinematografo del Chopo(チョッポ・映画センター)では、このところ「セクシュアリティ」特集をつづける。 今日の作品、なにも知らずに観たら、いわゆるゴキゲン系の、ロック・オ…
・『Le Cerf-volant(The Kite)』、Randa Chahal Sabbag、レバノン・仏(2003) レバノンもイスラエルによって分断されている。 国境には監視塔が構え、地雷原がひろがる。 そんな中で、子どもたちはたこ揚げが楽しみ。 やっと思春期をすぎたおんなの子は、一族…
・”No Country for Old Man(「ノーカントリー」)", Cohen brothers, 2007, 米国 コーエン兄弟の映画なのか、それともハビエル・バルデムの映画なのか、もちろんコーエン兄弟の映画である。 バルデムの存在感は大きすぎるほど。 もう何本もバルデムの出演作…
・邦画『間宮兄弟』森田芳光(原作・江国香織)、2006 ニホンの社会をこうして眺めるのもおもしろい。 オタクとして生きていくのはむずかしくないかもしれない。 ニートにもならずに、オタクとして生きていくこと。 あるいは、いまのニホンでは、オタク…
・「Silk」、フランソア・ジラール、2007、イタリア・カナダ・日 原作もベストセラーらしいアレッサンドロ・バリッコ。 原作には、現実のニホンではなく、イタリア人が思うところのニホンだという但し書きがあるらしい。 ニホンの絹産業といえば、開国後…
・『モンスーン・ウエディング(Monsoon Wedding)』、ミラ・ナイール、2001、インド インドのすごく裕福でもない家庭での結婚騒動が、さながらモザイクのごとく、絡み合うように描かれる。 インドでの結婚というと、伝統的に親の決めた相手と結びつけら…
イギリス映画「贖罪 つぐない(Atonement)」、Joe Wright, (2007) 原作はいまをときめく、イアン・マキューアン。 第二次大戦前のイギリスの地方の裕福な家族での愛の物語である。 しかし、その愛をめぐっては、はじめは少女として登場する語り手によ…
製作は1990年。 順に、鴻上尚史、大森一樹、渡邊孝好というヴェテランの手になるオムニバス映画。 当世、流行の病気モノ。 1.マイ・スウィート・リトル・キャンサー ガンだと思った若い男が人質をとってたてこもる。 しかし、そのガンの確からしさをめ…
・『シッコ Sicko』マイケル・ムーア、米国(2007)ご存知、マイケル・ムーア節の登場。 商業映画館での公開は、二週間程度しかつづかず、忘れたころになってピラタで見ることになった。 そして先進国で唯一、国民健康保険のない米国の救いようのない医療行政…
・「青い瞼(Parpados azules)」、エンリケ・コントレラス、2007、メキシコ この作品は、第20回東京映画祭でも上映されている。 マリーナは30代半ばといったところか。 各種業務用のユニフォームの老舗に勤める店員。 仕事がら出会いはすくなく、べ…
・Goya's ghosts, ミロシュ・フォアマン、2006、スペイン・米国 昨日の映画と同工異曲かと思ったらおおちがい。 まずは、ミロシュ・フォアマンとハビエル・バルデムの組み合わせをどう堪能するか。 ところがまず面食らうのが、ハビエルがゴヤを演じてい…
・「Goya en Burdeos」、Carlos Saura, 1999, スペイン ゴヤは、美術のうえだけでなく、スペインのめまぐるしい政争にもまきこまれ、ドラマに欠けたことのない人生をおくった。 晩年、フランスに亡命し、あれこれむかしのことを回想する。 それこそ、ゴヤの…
・LOVE IN THE TIME OF CHOLERA(「コレラの時代の愛」)、Mike Newell、米国・コロンビア、2007 どう語りだせばいいのかはっきりいって戸惑う。 どこをみても不評がならんでいる。 大作ではあるけれども、原作にある強烈さが欠けている。 コロンビアの…
『ゆきゆきて、神軍』原一男(奥崎謙三)日本、1987まずこの作品については、いくつか関連書が出されているが、わたしにとって影響をあたえたのは、猪瀬直樹、山口昌男『ミカドと世紀末』という本。 その第七章が「『ゆきゆきて、神軍』の提起したもの」…
・The kite runner、Marc Forster, 2007, 米国 この作品を初めて知ったのは、レオノラ・カリントン(90歳)が読んでいて、あるインタビューにてそれを語っていたときのこと。 その後、映画化にまつわるスキャンダルがすこし話題にのぼっていた、つまり子ど…
・「父親たちの星条旗」、クリント・イーストウッド、米国、2006 物量の点で圧倒的優勢を誇ったはずの米国。 その米国軍にしても厭戦気分が醸し出されていたというのは、意外でもある。 あの、硫黄島での戦いにおいて、これほどまでの悲惨な戦いが繰り広…
・「小さき勇者たち 〜ガメラ〜」、田崎竜太、日本、2006 いわゆる怪獣映画は、だれのものなのか。 怪獣からは、どんな伝説がはぐくめるものなのだろうか。 この映画においては、ガメラは典型的なアイドル化している。 亀を助ける浦島太郎の物語と、大人…